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大分地方裁判所 昭和44年(わ)283号 判決 1971年4月28日

本店

大分県豊後高田市大字玉津三七五番地

富士商事株式会社

右代表者代表取締役

宗司三枝子

本籍

大分県西国東郡真玉町大字西真玉二〇一七番地

住居同所

金融業

宗司学郎

明治四五年三月八日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官堀口勝正出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人富士商事株式会社を罰金一五〇万円に

被告人宗司学郎を懲役四月に

それぞれ処する。

被告人宗司学郎に対し、本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人富士商事株式会社は、貸金業等を営業目的とするもの、被告人宗司学郎は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人宗司は被告人会社の業務に関し法人税を免れようと企て、貸付金の一部を簿外にするなどの方法により所得を秘匿したうえ、同会社の昭和四一年四月一日から昭和四二年三月三一日までの事業年度における所得金額が五、〇四二万七、九三九円で、これに対する法人税額が一、六九五万四、九〇〇円であつたのにかかわらず、昭和四二年五月二九日、所轄宇佐税務署において、同税務署長に対し、同会社の所得金額が八一三万七、〇五一円で、これに対する法人税額は二一九万五、一九〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もつて正規の法人税額との差額一、四七五万九七〇〇円を法定納期限までに納付せず、もつて不正の行為により同額の法人税を免れたものである。(ほ脱所得の内容は別紙損益計算書記載のとおりである。)

(証拠の標目)

一、 被告人宗司の検察官に対する供述調書三通および大蔵事務官に対する質問てん末書九通

一、 被告人宗司作成の上申書五通

一、 伊藤博の検察官に対する供述調書三通

一、 江口久義、中川金光、江畑香の検察官に対する各供述調書

一、 池田逸次の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、 同人作成の利息計算等メモ写の確認書

一、 飯田トミ子作成の上申書

一、 吉良太助の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、 後藤文彦の検察官に対する供述調書

一、 山本正吉作成の普通預金元帳写綴

一、 近藤米吉の検察官に対する供述調書

一、 井上桂一の検察官に対する供述調書

一、 同人作成の証明書

一、 塚本宏道の検察官に対する供述調書

一、 池部三千尋の検察官に対する供述調書

一、 於田義和の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、 同人の検察官に対する供述調書

一、 武智宏一の検察官に対する供述調書および同人作成の「富士商事株式会社借入金」と題する書面

一、 内田実の大蔵事務官に対する質問てん末書および検察官に対する供述調書

一、 辻司の検察官に対する供述調書

一、 中村勇三の検察官に対する供述調書

一、 永藪定夫の検察官に対する供述調書

一、 早川博敏の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、 同人の検察官に対する供述調書

一、 武内新の検察官に対する供述調書

一、 羽立精吉の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、 安倍増夫の検察官に対する供述調書

一、 中野三好の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、 坊河内盛の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、 松川満の検察官に対する供述調書

一、 益野幸三郎の検察官に対する供述調書

一、 太田原康の検察官に対する供述調書抄本

一、 日高邵の検察官に対する供述調書および大蔵事務官に対する供述調書

一、 加藤泰輔の検察官に対する供述調書

一、 登記簿謄本二通

一、 法人税確定申告書(昭和四四年押第一一〇号の一)、総勘定元帳一冊(同二)、貸付金補助簿一冊(同三)、総勘定元帳一冊(同四)、手形貸付個人別帳一冊(同五)、富士商事借入メモ一枚(同六)、普通預金元帳一葉(同七)、カレンダー二冊(同一三、一四)、普通預金元帳一葉(同二二)

(法令の適用)

判示所為は、法人税法一五九条一項(被告会社につきさらに同法一六四条一項)に該当するので、被告人宗司学郎につき懲役刑を選択し、所定刑期および罰金額の範囲内で、被告人宗司学郎を懲役四月に、被告人会社を罰金一五〇万円にそれぞれ処し、被告人宗司学郎に対し刑法二五条一項を適用して本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 裁判官 大喜多啓光 裁判官鈴木悦郎は退官したため署名押印することができない。)

損益計算書

自 昭和41年4月1日

至 昭和42年3月31日

<省略>

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